人の細胞や組織は、遺伝子情報によってタンパク質が合成されてつくられています。このため遺伝子に変異が起こり、タンパク質が正常に働かなくなると、病気を引き起こす場合があります。
近年は遺伝子解析技術が進歩し、遺伝子の情報に基づいて病気の診断や治療を行う時代になってきました。分子標的薬やコンパニオン診断薬(前ページ参照)、また遺伝性疾患の分野などでは、遺伝子情報の診断・治療への応用が進められています。また糖尿病や認知症など生活習慣が関連する病気に関しても、遺伝子情報を応用してよりよい治療法を開発するための研究が世界中で進められています。
ある病気や病態に働く特徴的な遺伝子を見つけることができれば、その遺伝子からつくられるタンパク質に作用する治療薬の開発や、その遺伝子の働きを抑える遺伝子治療など、新しい治療法の開発につなげることができます。またどのような遺伝子が、いつ、どこで働いているかを調べることで、病気の進行スピードや将来のリスクを予測することもできます。
シスメックスは、そうした遺伝子の働きを調べるDNAマイクロアレイ技術・システムの普及を通じて、遺伝子情報を応用した臨床研究を支援しています。臨床検査と同様の高い精度で測定できるシステムによって、薬剤の効果や病気の進行の予測、疾患の分類など、遺伝子マーカーと呼ばれる特定の遺伝的性質の目印となるDNA配列(タンパク質の並び方)の探究のスピードアップに、そして一人ひとりの患者さんにあった医療の発展に貢献したいと考えています。