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サイトカイン受託測定サービス

特長

サイトカイン※1測定について

 SARS-CoV-2感染症(以下COVID-19)では、大部分の患者様は軽症の経過をたどりますが、全体の14%程度は肺炎や呼吸不全を発症し、5%は重症呼吸器疾患により人工呼吸器などによる治療を余儀なくされています(1)。また、血液の凝固異常や全身の炎症を発症し、心筋梗塞や急性腎炎など多臓器不全を引き起こす患者様も報告されています(2)。このように様々な経過をたどるCOVID-19ではありますが、症状が現れて7日目までは比較的軽症の患者様が少なくありません(1-3)。この時期までに重症化が予測できれば、その後の治療においてメリットが高い可能性があります。中国での研究では、1型免疫応答※2を司るサイトカインやVEGF-A, IL-6,IL-10などの血中濃度が、重症化する前にすでに上昇していたことが報告されています (2,3)。
 重症化過程の中で注目されているのがサイトカインストームです。免疫は本来病原体を排除する機構でありますが、サイトカインストームとは免疫の制御物質であるサイトカインが大量に血中へ放出され、免疫が患者様自身の組織を破壊し免疫暴走する現象です。このような現象はCOVID-19に限らず、インフルエンザなどウイルス感染症の一部で知られており (4,5)、COVID-19の重症化メカニズムの一つとして、サイトカインストームが関与していると報告されています。(13)。
 
※1 サイトカインは、数百種類に及ぶ低分子情報伝達タンパク質の総称であり、感染防御、血管の新生、血液や組織の細胞増殖因子など、個々に様々な機能があります。特にウイルス感染症では“1型免疫応答”と呼ばれる免疫系が病原体排除に重要な役割を担っています(6)。
※2 1型免疫応答はマクロファージなどの活性化を介した免疫応答です。ウイルスの感染防御などの役割を担います。
サイトカインイメージ図

当社で提供するサイトカイン測定項目

  • IL-6:
代表的な炎症性サイトカインであり、感染症などの急性炎症のみならず、慢性自己免疫疾患のメカニズムに深く関連しています (8)。COVID-19では、抗IL-6抗体であるアクテムラの有用性が報告されており、IL-6産生増幅回路 (IL-6アンプ) というメカニズムが提唱されています (9)。  
  • IL-10:
炎症抑制サイトカインであり、感染症では1型免疫応答を抑制する役割を担います (10)。COVID-19では、発症4日目において一部の患者で血中濃度が上昇し、特に最終的にICUにて治療が必要となった患者様で血中濃度が高値になりました (2)。  
  • IL-18:
ウイルス感染やがん、活性酸素などにより、強いストレスが細胞にかかると放出される炎症性因子の一つとして挙げられます (15)。1型免疫応答に関わるTh1細胞、CD8T、NK細胞などを活性化する他、アトピー性皮膚炎などのType 2 immunityにも関連することが知られています (14)。  
  • VEGF-A:
主要な血管新生因子であり、低酸素状態になると産生され、血管内皮細胞に作用し、増殖や細胞間マトリックスの産生、血管透過性の亢進を促します(11)。また、肺胞のVEGF濃度は末梢血より高く、ARDSの急性期に血中濃度が上昇するという報告があります (12)。  
  • CXCL9(MIG):
1型免疫応答を司るサイトカイン。マクロファージや上皮細胞、血管内皮細胞などから産生され、Th1細胞やCD8T細胞、一部のマクロファージなどを炎症部位へ遊走させます。  
  • CCL3(MIP1α):
マクロファージや線維芽細胞、上皮細胞、血管平滑筋細胞などから炎症に応じて産生されるサイトカインです。  

仕様

項目情報

測定項目 IL-6 IL-10 IL-18 VEGF-A CXCL9
(MIG)
CCL3
(MIP1α)
測定原理  CLEIA(自動化法)
検出感度
(pg/mL)
0.18 0.14 4.17 0.20 0.06 0.14
定量下限
(pg/mL)
0.73 0.34 12.80 1.82 0.14 0.47

※本サービスは研究用のため、診断には使用できません。

他社製品との比較データ

※本データは参考データであり、本アッセイにおける検出感度や定量下限値を保証するものではありません。標準品の違いや使用する抗体の違いにより、キットや施設間で測定結果に差が生じる可能性がございます。

化学発光酵素免疫測定法を用いたサイトカインの検出データの一例

  • 既存検査項目
  • サイトカイン項目

関連文献・関連ページ

参考文献

1) Wu Z, McGoogan JM. Characteristics of and Important Lessons From the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Outbreak in China: Summary of a Report of 72 314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention [published online ahead of print, 2020 Feb 24]. JAMA. 2020;10.1001/jama.2020.2648. doi:10.1001/jama.2020.2648

2) Huang C, Wang Y, Li X, et al. Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China [published correction appears in Lancet. 2020 Jan 30;:]. Lancet. 2020;395(10223):497‐506. doi:10.1016/S0140-6736(20)30183-5

3) Zhou F, Yu T, Du R, et al. Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study [published correction appears in Lancet. 2020 Mar 28;395(10229):1038] [published correction appears in Lancet. 2020 Mar 28;395(10229):1038]. Lancet. 2020;395(10229):1054‐1062. doi:10.1016/S0140-6736(20)30566-3

4) Huang KJ, Su IJ, Theron M, et al. An interferon-gamma-related cytokine storm in SARS patients. J Med Virol. 2005;75(2):185‐194. doi:10.1002/jmv.20255

5) Woo PC, Tung ET, Chan KH, Lau CC, Lau SK, Yuen KY. Cytokine profiles induced by the novel swine-origin influenza A/H1N1 virus: implications for treatment strategies. J Infect Dis. 2010;201(3):346‐353. doi:10.1086/649785

6) Spellberg B, Edwards JE Jr. Type 1/Type 2 immunity in infectious diseases. Clin Infect Dis. 2001;32(1):76‐102. doi:10.1086/317537

7) Metzemaekers M, Vanheule V, Janssens R, Struyf S, Proost P. Overview of the Mechanisms that May Contribute to the Non-Redundant Activities of Interferon-Inducible CXC Chemokine Receptor 3 Ligands. Front Immunol. 2018;8:1970. Published 2018 Jan 15. doi:10.3389/fimmu.2017.01970

8) Tanaka T, Narazaki M, Kishimoto T. IL-6 in inflammation, immunity, and disease. Cold Spring Harb Perspect Biol. 2014;6(10):a016295. Published 2014 Sep 4. doi:10.1101/cshperspect.a016295

9) Hirano T, Murakami M. COVID-19: A New Virus, but a Familiar Receptor and Cytokine Release Syndrome. Immunity. 2020;52(5):731‐733. doi:10.1016/j.immuni.2020.04.003

10) Couper KN, Blount DG, Riley EM. IL-10: the master regulator of immunity to infection. J Immunol. 2008;180(9):5771‐5777. doi:10.4049/jimmunol.180.9.5771

11) Shibuya M. Vascular endothelial growth factor and its receptor system: physiological functions in angiogenesis and pathological roles in various diseases. J Biochem. 2013;153(1):13‐19. doi:10.1093/jb/mvs136

12) Barratt S, Medford AR, Millar AB. Vascular endothelial growth factor in acute lung injury and acute respiratory distress syndrome. Respiration. 2014;87(4):329‐342. doi:10.1159/000356034

13) Shivraj Hariram Nile, Arti Nile, Jiayin Qiu, Lin Li b, Xu Jia, Guoyin Kai. COVID-­‑: Pathogenesis, cytokine storm and therapeutic potential of interferons. Cytokine & Growth Factor Reviews.

14) Tanaka T, Narazaki M, Kishimoto T. IL-6 in inflammation, immunity, and disease. Cold Spring Harb Perspect Biol. 2014;6(10):a016295. Published 2014 Sep 4. doi:10.1101/cshperspect.a016295

15) Kaplanski G. Interleukin-18: Biological properties and role in disease pathogenesis. Immunol Rev. 2018;281(1):138‐153. doi:10.1111/imr.12616

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