シスメックス株式会社は、免疫チェックポイント阻害剤の効果を投与前に予測できることが期待される新たな測定法について、2023年7月より神戸市西区の当社研究開発センターにて研究用受託検査サービスを開始します。
免疫チェックポイント阻害剤は、種々のがんに高い効果を発揮することが知られています。一方で、同じがんの患者さんであっても、薬剤効果を示さないケースが存在するため、投与前にその効果を予測するための検査が求められています。
埼玉医科大学国際医療センター呼吸器内科 各務教授は、血液中のリンパ球を調べることによって、免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブ※1およびペムブロリズマブ※2)について、その効果を従来法よりも詳細に予測できる方法(以下、「本技術」)を発明しました。本技術の社会実装に向けては、AMED事業「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(患者層別化マーカー探索技術の開発);事業期間 令和元年度~令和5年度」において支援を受け、シスメックスは研究開発分担者として研究開発を進めて参りました。これらの成果は免疫チェックポイント阻害剤の効果的投与と、がん治療の個別化医療に寄与する技術として、国内のKOL※3や製薬会社からも強い関心が寄せられています。
このたびシスメックスは、AMED事業における研究成果として患者さんの全血から簡便に測定する方法※2を開発しました。また、本技術の研究受託サービスを通じて、肺がんをはじめとするがんにおける免疫チェックポイント阻害剤の幅広い用途に関するエビデンスを蓄積し、本技術の診断法としての実用化を目指します。
シスメックスは、患者さんとそのご家族のヘルスケアの旅路「ヘルスケアジャーニー※4」がより良いものになるよう、患者さん一人ひとりに最適な治療の提案につながる、価値の高い検査・診断技術の早期実用化に取り組み、個別化医療の発展と進化に貢献していきます。
【参考】
2018年4月4日リリース『免疫チェックポイント阻害剤の効果を投与前に予測する方法について』
【注釈】
※1 出典:Kagamu et al. Cancer Immunol Res. 2020; 8:334-344.
※2 出典:Yamaguchi et al. BMC Cancer. 2022; 22:1325.
※3 Key Opinion Leader(キーオピニオンリーダー)の略称。医療業界で影響力を持つ医師や専門家のこと。
※4 「ヘルスケアジャーニー」とは、シスメックスが新たに提唱する概念であり、人が一生の中(ライフステージ)で、自身のヘルスケアについて経験する各種イベントと、医療機関などを含む対応のプロセスを「旅路」として捉えるもの。シスメックスは、一人ひとりのヘルスケアジャーニーがより良いものになるよう、さまざまな協創を通じて新たな価値を提供し、社会にとって不可欠な存在として成長していくことを目指しています。