研究用全自動高感度免疫測定装置HI-1000を用いて、血清中のHDL(高比重リポタンパク)がコレステロールを回収・運搬する能力(HDL機能)を受託測定します。
HDL-C(高比重リポタンパクコレステロール)は心血管疾患の予防や管理において重要な指標の1つであることが知られています1) – 3)。
一方、近年の臨床研究によると、CETP (Cholesteryl Ester Transfer Protein)阻害剤などの治療によりHDL-C濃度が大幅に改善したにも関わらず、心血管イベントを低減できなかったという報告もあります4) – 7)。
このような研究結果から、HDL-Cが善玉であるという従来の概念に疑問が呈され、HDLに含まれるコレステロール量ではなくHDL機能の評価が注目されてきました。
HDLの重要な機能として、血管壁のマクロファージからコレステロールを引き抜き、肝臓に運搬するコレスレロール逆転送作用があります8)。
また、近年の研究において、HDLがコレステロールを引き抜く能力(Cholesterol Efflux Capacity; CEC)が心血管疾患の発症においてHDL-Cより有用な予測因子になり得ることが示唆されています9)。
しかしながら、HDLのコレステロール引き抜き能を評価するためには、培養細胞や放射性同位体による標識など煩雑な工程を必要とし、測定現場への応用は困難でした10)。
当社は測定現場に応用可能なHDL機能の測定法を確立するため、
従来のHDLのコレステロール引き抜き能に代わってHDLがコレステロールを取り込む能力(Cholesterol Uptake Capacity; CUC)を自動で迅速かつ簡便に評価する方法を開発しました。
※本サービスは研究用のため、診断に用いることはできません。
1) Am J Med. 1977 May;62(5):707-14. Gordon T et al
2) Circulation. 1989 Jan;79(1):8-15. Gordon DJ et al
3) JAMA. 2001 Mar 28,285(12):1585-91. Robins SJ et al
4) N Engl J Med. 2012 Nov 29,367(22):2089-99. AIM-HIGH Investigators
5) N Engl J Med. 2014 Jul 17;371(3):203-12. HPS2-THRIVE Collaborative Group
6) N Engl J Med. 2007 Nov 22,357(21):2109-22. ILLUMINATE Investigators
7) N Engl J Med. 2012 Nov 29;367(22):2089-99. dal-OUTCOMES Investigators
8) J Lipid Res. 2009 Apr;50 Suppl:5189-94. Rader DJ et al
9) N Engl J Med. 2011 Jan 13,364(2):127-35. Khera AV et al
10) Lipid Res. 1999 May;40(5):781-96. Rothblat GH et al